政党支持率

内閣支持率最低 30% 政権運営手詰まり感

安倍首相の政権運営が危険水域に近づいた。参院選に向けた朝日新聞の第4回連続世論調査(2、3日。電話)では、内閣支持率は30%で前回(5月26、27日)の36%からさらに下落し、政権発足後最低を更新。不支持率は前回の42%から49%に上昇した。ずさんな年金記録問題への政権の対応や、自殺した松岡利勝農林水産相をめぐる「政治とカネ」の問題への批判が集まった。政府・与党は年金問題に迅速な対策を取ることで政権を立て直す構えだが、参院選公示を約1カ月後に控え、首相の政権運営には手詰まり感も出始めている。

なんというか、今回の政府の動きはやはり引っかかるところが多かった。
しかし、それにもまして、これほどまでに支持率が低下しているのは、「年金」という生活に身近で、将来かかわってくる可能性が高い問題が有権者の間では関心が高い、ということだろう。
憲法改正というのは、一般の国民にとってはかなり遠い話に感じられるし、格差の是正といったところでそれがどのようなものなのかという具体的なイメージはつかみにくい。
しかしながら、「年金問題」は将来に不安を抱える国民により強くネガティブな将来像を提供してしまう。
それも仕方が無いことである。
現行の年金制度を維持していくというスタンスを変えない以上、どこかで無理が出てきてしまう。社会保険庁の改革といったところで、その実制度そのものの抜本的な改革が行われないのだから、看板の架け替えと揶揄されてしまうのは当然といえる。

この支持率の低下の流れで安部政権は方向性の変革を打ち出すのか、ということについて言えば、おそらくそのようなことにはならないだろう。
日本政府お得意の小手先の対応は行っても、結局憲法改正という主軸は揺るがないのではないかと思う。なんとなく彼が後ろを振り返った場合、そうすることを決断するような気がする。

だいたい、国民からの支持率が高ければそれだけで優れた首相とはいえない。
かといって国民の声をまったく無視すれば選挙に勝てない。
10年、20年以上のビジョンでこの国の行き先を指し示したときに、「既得権益」からの支持は得られなくなるかもしれない。それでも断行できるかどうかが、安部総理が歴史の教科書に名前を連ねられるかどうかの線引きになるであろう。