雨の日

雨である。
秋の雨は実にシトシト降る。人生の後半戦が始まったばかりの女性の涙のように。
個人的には雨が降るのは好きである。正確に言うと雨の音を聞くのが好きだ。

人間では作り出すことができないくらいに、多数の単調な音のリズムと、複雑なその繰り返し。自然と心が落ち着いてくる。

午後になったらきっと雨から曇りになって、ぬれた地面の上を歩く人々が雨に悪態をつくことだろう。それは仕方のないことなのかもしれない。

しかし、雨の降る夜に、一人で起きて、スティーブン・キングの小説をグイグイと読んでいると本当に引き込まれてしまう。悪夢でも見そうなくらいに。