ナンバーワンとオンリーワン

少しツイッターでリプライやりとりしていたので、ざっくり書いておく。

ナンバーワン戦略とオンリーワン戦略はまったく違う。結果として重なることがあるかもしれないが、基本的な方向性は角度にして75度ぐらい違う。

ナンバーワン戦略というのは、比較して誰にも負けない状態を目指すということだ。その状態を何によって作り出すのかはいろいろな手法がある。価格かも知れないし、質かもしれない。あるいはシェアそのものをまったく別の切り口にしてしまう手段もある。何か新しいジャンルを作れば、最初の一人は誰でもナンバーワンだ。でも、それは単に比較する人が未だに現れていない、というだけに過ぎず、常にナンバーワンであり続けられるかどうかは分からない。勝ちやすい場所でレースをしているだけだ。

対して、オンリーワン戦略はそもそもそういう競争に参加しない、という方向性だ。誰とも比べないのだから、一番も二番もない。何か比べるものがあるとすれば、それは過去の自分ということになるだろう。自分自身であり続けるというのは、自分自身を常に向上させるということだ。たとえば「良い文章を書きたい」という目標があるとして、一定のレベルで満足してしまえば、「良い文章を書きたい」という目標は効力を失ってしまう。その目標や理想こそが、自分自身(の理性)とするならば、これを保ち続ける事が自分自身であり続けるということだ。
人の身体は怠惰を好む。人の理性は向上を目指す。この綱引きに負けたら、人は自分自身から振り落とされることになる。

そうして自分自身であり続けた結果、市場的に見てナンバーワンになるということはあるだろう。しかし、それは副産物でしかない。もっとも重要なのは、オンリーワンであり続けようとするその「想い」だ。それがブランディングのもっとも基本になるのではないかと思う。