新社会人を目指す人々へ

就職に満足も将来に不安…新入社員アンケート

希望通りの就職はできたものの、将来のリストラが不安――。今春入社したばかりの会社員を対象にした調査で、新入社員のこんな意識が浮かび上がった。

 財団法人「社会経済生産性本部」などが新入社員3849人にアンケート調査したところ、就職先について、「思っていたよりは満足のいく就職ができた」との回答が81・9%。戦後最長の好景気と、団塊世代の大量退職に伴う「売り手市場」を反映したと同本部は分析する。一方、仕事や今後の展望については、」(38・8%)「いずれ会社が倒産したり破たんしたりするのではないか」(22・8%)などの回答が前年より増加した。

もう7月も目前で、3年生のころからきちんと目標を見据えて就職活動を行ってきた大学生はそろそろ内定をもらって思う存分遊んでいてもおかしくないころである。
その反面、「まあいつかやるよ」と思いながらボチボチとすごしている学生はもしかしたらいまだにエントリシート一枚すら書いたことがない、という状況にいるかもしれない。
もちろん、それは格差でもなんでもなく、ただ単に自分の努力の相応分の結果が出ているだけに過ぎない。
就職活動をする上で重要なのはおそらく二点しかない。それはやる気と自己分析、である。まあこんなことは就職活動のHow To本にでも書いてあることで面白みも何もない意見かもしれない。しかしながら、そこに尽きることだけは間違いないことである。

たとえば、大体今就職が決まっていない、というか就職活動すらしていない4年生はおそらく「何でもいいから仕事に就きたい」と考えているのではないだろうか。
それに加えて自分は何がしたいのか、何が得意なのかすら把握できていない。

私も一応人を雇う側にいるのでわかるのだが、そのような人間を採用するのはよほど人手が足りていないか、はじめから戦力として当てにしていないか、のどちらかである。
もっとも日本経済が有り余るほどの活力を持っていた時代ならともかく、今の日本で後者はほとんど考えられないだろう。

就職活動に出遅れた学生は、最終的には仕方なしに、そういう誰でも良い仕事を、いやおうなしに引き受けなければならない。それは企業に就職することから外れてしまう、という場合もある。つまりフリーターだ。まあ家庭の経済状況が許すならそういう選択肢もありだろう。そこからもとのレールに戻れるかどうかは別として。

でもって、やる気というのは大抵自己分析に基づくものである。自分の好みがわかってこそやる気が出るというものである。もちろん極端に高給な仕事はそれ自身が働く動機になるだろうが、それにありつけるのは一部の人間であり、また能力や資格というものも必要になってくる。

「社会に出てもいない学生が、自分の得意なことなどわかるか」というのが企業に属する大人たちから聞こえてきそうな意見である。まあおそらくそういう意見を言う人は、今まで自分がすきでもない仕事をこつこつとこなしてきた、という自負があるのだろう。
それはそれで大変結構なことであるが、社会の枠組みそのものが変化しつつある中で、そういう根性論はあまり持続しない。
最初に引用した記事の中では「いずれリストラされるのではないか」という意見や「いずれ会社が倒産したり破たんしたりするのではないか」という意見が上がっている。一流の企業であっても倒産する可能性は一応あるのだからそう心配するのはただ単なる悲観論ではないだろう。むしろそういった意見から出てくる危機感というのが仕事を含めた自分の人生に対するモチベーションをあげるということもありうることだ。会社に依存するのではなく、自分の力を磨く必要性を感じて、スキルアップにいそしむサラリーマン(ウーマンもだね)が増えるのは社会全般にとって良いことではないだろうか、と思う。

確かに若いうちは自分にもっとも向いていることなどわかりようも無い。はじめはダメだと思っても続けていくうちに力がつき、形になるものもあるのかもしれない。
しかし、今ひとつの会社に自分の人生を預けるのはリスクが高いことを若い人間は十分知っている。だからこそ会社選び、仕事選びに対しては慎重にならざる得ない状況である。
人間は理由を考え出すのには非常に長けた生物である。
というわけで、「苦手」「不得意」「自分にあっていない」「やる気がでない」という若者のぼやきが出てくる、というわけだ。

さて、自己分析というのは一体どういうものだろうか。一番良いのは「何が得意」で「何がやりたいか」ということがわかっていることだろう。もしその二つが重なっていたらば、その人が取れる戦略というのは非常に狭いが、その分迷うことはほとんど無いだろう。
その二つが分かれているとしたらどちらを基準に仕事を選ぶべきか。効率でいえば、前者であろうし、長期的な視野で言えば後者ということになるかもしれない。
実際何かやりたいと思ってもそこにたどり着くには結構長い時間がかかったりするものであり、やりたいこと以外もやらなければいけないという状況にもしばしば陥るだろう。
しかし、自分の目標さえ見えていればポジションの確認はできる。道のりがわかっている道程は歩きやすいものである。
かといってすべての人が簡単に得意なこと、やりたいことを把握できるとは限らない。
いろいろなことを積み重ねていって自分自身をゆっくりと確認していくような人もいるだろう。となると、少なくとも何が不得意で、何がしたくないか、ということだけは把握しておいて、仕事を探すべきだろう。それくらいはしておかないと、おそらくかなりの確率で後悔し、仕事を変えざる得ないことになってしまう。そしてその働いていた間には何一つ得るものは(職歴と給料以外は)ない、という結果が待っている可能性もある。

日本経済は少しずつ上向きになってきているといわれるし、正規雇用も徐々に増えてきているといわれている。やる気のある学生はさっさと仕事を見つけることができるだろう。しかしその反面サービス業の大半は非正規雇用に支えられているという状況は変わっていない。
そのような社会の状況しっかりと俯瞰し、情報を集め、スキルをあげていくことがこれからのポスト社会人には必要になってくるのだろうと思う。



蛇足的追加
しかしまあ、あんまり先のことばっかり考えてみても「仕方ない」ってこともあります。もちろん近視的に生きすぎるというのも問題ちゃー問題ですが。